日本の三大損保のひとつ MS&ADインシュアランスグループホールディングス
株主還元に積極的で高配当株としても注目される一方
災害リスクや成長戦略に対する評価で、東京海上・SOMPO より割安に放置されています。
MS&ADとは?三大損保の一角
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グループ構成:三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損保がメインで、他に、生命保険、海外事業の会社を持つグループ会社
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国内シェア:損害保険料収入ベースで国内No.1(特に自動車保険が強い)
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海外事業:アジア・欧米に展開、ロイズ市場(ロンドンにある世界最大級の保険市場)にも参入
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売上構成:グループ売上の5割超が自動車保険関連
強み:国内自動車保険で圧倒的存在感
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トヨタが大株主であり、販売ディーラー経由で契約が獲得しやすい
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自動車保険の安定収入が全体の基盤を支えている
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膨大な事故データをもとに商品改善・リスク管理が可能
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成長が見込める海外事業の比率が年々拡大
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英国「ロイズ市場」では特殊リスク(航空機、船舶、自然災害、サイバー攻撃など)を引き受け、収益機会を拡大
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為替動向(円安)も利益を押し上げ要因に
業績と株主還元
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2024年度実績:収入保険料 4兆6,743億円、グループ利益 6,916億円(過去最高益)
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2025年度予想:収入保険料 4兆9,160億円、純利益は5,790億円(やや減益予想)
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株主還元:11年連続増配、自社株買いも積極的(2025年度は上限850億円)
- 現在の株価3,481円 配当金 155円 利回り 4.4%
投資家が考慮すべきリスク
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自然災害リスク:地震・台風などで巨額の保険金支払いが発生
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再保険コスト上昇:気候変動で保険料の再引受コストが上がる
※再保険とは、保険会社がさらに保険をかける仕組みのことです。
損害保険会社は契約者から保険料を集めますが、巨大な災害や事故が発生すると、1社だけでは莫大な保険金を支払えない場合があります。
そのリスクを分散するために、保険会社自身が再保険をかけてリスクの一部を移転します。 -
自動車保険依存:安全技術の進歩で事故件数が減少 → 保険料引き下げ圧力
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政策保有株縮減:一時的な売却益が減少し、利益変動要因になる
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競争リスク:ネット損保や海外勢との競合が激化
割安に放置される理由
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東京海上のような「海外利益の成長性」がない
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SOMPOのような「ヘルスケア・多角化戦略」が薄い
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自動車保険依存度が高く、将来性に疑問を持たれやすい。また、他2社ほどインパクトがなく「地味」と評価されがち。
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その結果、PER・PBRが低く、高配当株として放置されがち
三大損保比較(MS&AD・東京海上・SOMPO)
日本の損害保険業界は、**三大メガ損保(MS&AD・東京海上HD・SOMPO HD)**が市場の約9割を占めています。
それぞれの特徴を簡単に整理すると以下の通りです。
会社名 | 強み | 課題 | 配当利回り(2025年時点) |
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MS&AD | 国内自動車保険でシェアNo.1、株主還元積極的(増配・自社株買い) | 自動車保険依存度が高い、成長ストーリーに弱さ | 約4.4% |
東京海上HD | 海外事業の利益比率が高く、安定した成長ストーリーを確立 | 日本国内依存度が相対的に低下、自然災害リスクは同様 | 約3%前後 |
SOMPO HD | 介護・ヘルスケアなど多角化戦略、非保険収益も強化中 | 介護事業の収益性や海外M&Aのリスク | 約3.5〜3.8% |
投資家目線まとめ
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利回り重視ならMS&AD(4.4%) が最も魅力的
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成長安定性なら東京海上HD が有力
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新規事業・多角化のストーリー性ならSOMPO HD
つまり、MS&ADは「株価評価は割安に放置されがち」ですが、高利回りと株主還元を重視する投資家にとっては狙い目と言えるでしょう。
まとめ:高配当×安定だが成長シナリオは課題
MS&ADは「国内No.1シェア」「安定収益」「積極的な株主還元」が魅力です。
一方で「自然災害リスク」「自動車保険依存度の高さ」という課題もあり、投資家は長期目線での成長戦略に注視する必要があります。
高配当株狙いで安定を求める投資家にとっては有力候補ですが、成長期待で買うなら東京海上やSOMPOとの比較が必須です。
👉 動画で分かりやすく解説しています。