"> アステラス製薬の業績予想と投資リスク徹底分析【2025年最新】|サラリーマン小太郎
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【高配当株解説】アステラス製薬の事業モデルと投資リスクを徹底分析

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医薬品業界における最大のリスクが特許切れ

2027年に主力医薬品の特許が切れるアステラス製薬(4503)は現在どういった業績をあげ、どのような対策を取っているのか。

2025年の見通し、投資を行う上での注意点を投資家視点で解説します。

会社概要と設立の背景

  • 創業・合併
    アステラス製薬は、山之内製薬と藤沢薬品工業という、それぞれ創薬技術・疾患領域で特色ある二社が、2005年4月に合併して誕生しました。
    両社の強みを融合し、「研究開発型グローバル製薬企業」としての歩みをスタートさせたのがアステラスの原点です。

  • 社名の由来
    “アステラス”とは、ラテン語の stella、ギリシャ語の aster、英語の stellar に由来し、「星」を意味します。
    大きな志をもって先進性を追求し、「明日を照らす」存在でありたいという願いが込められています。

  • 規模・グローバル展開
    2025年3月期末時点で、連結ベースの従業員数は13,643名。日本をはじめ欧米・アジアなど約70以上の国・地域で事業を展開しています。
    医薬品の研究・開発・製造・販売だけでなく、各国の法令・ガイドライン遵守や品質・安全性の確保にも注力しています。

アステラス製薬の事業内容

基幹事業

  • メイン領域は、患者さんのアンメット・メディカル・ニーズ(まだ十分な治療がない疾患)に応える革新的な医薬品を創出すること。

  • 前臨床 → 臨床試験 → 承認申請 → 製造販売 → 市販後調査・安全性管理まで、医薬品のライフサイクル全体を手掛けています。


 重点領域

アステラスは、特定領域に集中投資する「フォーカスエリア戦略」を取っています。

  • がん領域(オンコロジー)

    ・前立腺がん治療薬「イクスタンジ(XTANDI)」はグローバル主力製品。
    2024年度の売上9,123億、売上全体の50%を占めている主力商品です。

    ・尿路上皮がん治療薬「パドセブ(PADCEV)」など、新世代抗がん剤を展開。

  • 眼科領域
    ・加齢黄斑変性や網膜疾患など、視力に関わる領域の「アイザーヴェイ(IZERVAY)新薬開発。

  • 中枢神経領域
    ・不眠症、更年期障害など、神経・ホルモンに関連する疾患領域の「ベオーザ(VEOZAH)」。

  • 泌尿器科領域
    ・同社が長年強みを持つ分野の過活動膀胱治療薬「ベタニス(Myrbetriq)」など。

    アステラス製薬は「医療用医薬品の研究開発・販売」を中心事業としながら、がん・眼科・泌尿器などの重点領域で世界市場を狙っています。

    毎年売上の約 17〜18%程度を研究開発費に投資しており、新薬開発に力を入れています。

    海外売上比率(約70%)が高く、グローバル製薬企業としての色合いが非常に強い点が特徴です。

    現状・2024年度決算の状況

    • 売上高は約 1兆9,120億円(前年比 +19% 程度)と過去最高。

    • 営業利益は410億円、前年比 +61% の増益。

    • 純利益507億、前年比2.9倍と大幅に回復。

この好業績を支えているのが、主力薬「イクスタンジ(Xtandi)」の売上拡大と、新薬群の伸び。

配当利回り・配当政策

  • 現在の株価1,664円、配当金78円、配当利回りは 4.6

  • 配当も増配が続いており、2024年度から 74円 → 78円へと引き上げられた。

  • ただし、配当性向が非常に高く、利益以上の配当を支払っているため、減配リスクは非常に高いです。

2025年年度の業績予想

売上

1兆9,300億と過去最高売上を予想。
重点五製品(イクスタンジ以外の新薬群)が大きく伸び、全体の売上への寄与度が上がる。

2025年度、第一四半期の売上進捗率➡5,058億の26%
予想通りの進捗率。

販管費率が大きく改善する見込み。

営業利益

1,600億の予想。
引き続き改善を見込むが、特許切れ前の投資・販管費・研究開発費がコストを圧迫する可能性あり。

2025年度、第一四半期の営業利益は、進捗率➡946億の59% 予想以上の進捗率。
➡4分の1の業績なので、25%以上あれば予想以上の業績です。

当期純利益

1,300億の予想。

2025年度、第一四半期の当期純利益は、進捗率➡684億の52% 予想以上の進捗率。
➡4分の1の業績なので、25%以上あれば予想以上の業績です。

重点戦略製品の売上が好調

 

2027年に特許が切れる薬とその影響

  • 主力薬 イクスタンジ の特許が、アメリカで 2027年 に満了する見込み。

  • イクスタンジはアステラスの売上のかなりの比重を占めており9,000億円の、特許切れによるジェネリック参入などで収益が急激に落ちるリスクがある。

  • 特許満了前後での売上ピークアウト(成長の頭打ち)が既に意識されている。
    2025年から IRA 法(米国のインフレ抑制法)など価格制度・保険制度の変更の影響も出てくるとの見方がある。


リスク要因

投資判断上、以下のリスクに注意する必要があります。

  1. 特許切れリスク
    主力薬が切れることで売上・利益が著しく低下する見込み。代替となる薬が十分育たなければ、業績に大きな影響。

  2. 新薬パイプラインの不確実性
    重点戦略製品は伸びてきているが、その後続が見えにくいという指摘あり。臨床試験での失敗、承認遅延などのリスクも常につきまとう。

  3. コスト上昇・投資負荷
    研究開発費、販管費、規制対応コストなどの負担が増しており、利益を圧迫。増配政策など株主還元のプレッシャーも。

  4. 価格規制/保険制度の影響
    例えば米国での薬価抑制政策(IRA)、保険償還制度の変更、各国での薬価交渉など。これらが収益にマイナス影響を与える可能性が高い。

  5. 為替変動リスク
    海外売上が大きいため、ドル・ユーロなどの為替の動きが利益の円換算に影響。円高が進めば不利。

  6. 競合リスク
    他社からの新薬、ジェネリック薬品、あるいは代替治療法の出現など。特に主力の適応領域で競争が激しい。

  7. チャイナリスク
    アステラス製薬は中国にも進出しています。
    中国では、スパイ防止法で、従業員が拘束されました。今後中国でのビジネスが展開が縮小される可能性があります。


今後の展望

  • 「イクスタンジ依存」からの脱却を図るべく、重点戦略製品群(パドセブ、アイザーヴェイ、ベオーザ等)の育成が鍵。

  • 遺伝子治療/細胞医療、網膜疾患などの先進領域への投資・買収も進めており、中長期での新たな収益源を確保しようとしている。

  • 特許切れ後の売上減をどう補てんするかが最大のチャレンジ。新薬の立ち上がりが早ければギャップを抑えられるが、認可遅れ等があれば繰り延べや売上予想の下振れが起きる可能性も。


投資をする上での注意点

投資家がアステラス製薬を評価・投資を検討する際に注目すべきポイントは下記の通りです。

  • 新薬の 承認スケジュール・臨床試験の進捗:どの薬が フェーズ3・申請段階か。
    期待値の高い薬の成功確率を予測する。

  • 特許切れスケジュールの国別タイミング:米国・日本・欧州・中国などでいつ特許が切れるのか、それぞれの収益比率。地域別の競合・保険制度の違い。

  • 配当性向の推移と持続可能性。高利回りでも、利益が伴わなければ株主還元が圧迫される。
    ➡現在の配当金は利益以上に出しており、今後の利益が伴わなければ減配の可能性が非常に高いです。

  •  好業績を出しても、増配できる余地も少ないです。現状の減配リスクを織り込み利回り2〜3%と見込んで投資をを行いましょう。

  • コスト構造の変化:R&D/販管費、減損損失や償却費の影響。
    効率性・利益率の改善ができているか。

  • 政治的・制度的リスク:各国での薬価制度改正、米国インフレ抑制法(IRA など)、保険償還制度の見直しなど。

  • 為替の動向:海外売上比率が高い企業なので、円高に進めば利益が減少します。

  • 指標判断では、PER22倍/PBR2倍で割高水準です。
    2025年度決算が予想を下回れば、更なる株価の下落に繋がります。


総合評価・2027年展望

  • 短期〜中期(2025〜2026年) は、重点戦略製品の伸びと主力薬イクスタンジの売上維持で業績は底堅く、増収増益傾向が続く可能性が高い。
    配当利回りの魅力もあり、配当投資家には一定の魅力あり。

  • 2027年以降 はイクスタンジの特許切れによる売上・利益の減少が本格化する。仮に「次の柱」が十分育っていないと 売上・利益は減少。
    ここが株価・企業評価のターニングポイントになる。


おわりに

アステラス製薬は、現在「次の成長ポテンシャル」を問われている企業です。
過去数年のうちに主力薬への依存から脱するための取り組みを進めつつありますが、その成功の可否が今後数年の株価および業績を大きく左右すると考えられます。

もし私がこの銘柄を投資対象として見るなら、

  • 2025年の業績・新薬の承認ニュースを確認してから判断する

  • 特許切れ後のギャップを埋める製品が確実に見えてくるかを重視する

  • 配当利回りは魅力的だが、持続性に疑問が残るので無理のないポートフォリオ比率での保有が望ましい

というスタンスを取ります。

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