日産は今期6700億の赤字を出しました。
業績好調のトヨタと徹底比較し、業績の明暗は何かを分析しました。
日産自動車
時価総額 1兆3352億
PER -倍
PBR 0.25倍
決算情報
23年度 | 24年度 | 25年度予想 | |
売上高 | 12兆6857億 | 12兆6332億 | 12兆5000億 |
営業利益 | 5687億 | 698億 | 0(未定) |
経常利益 | 7022億 | 2102億 | 未定 |
特別損益 | ▲1029億 | ▲6238億 | 未定 |
税金費用 | ▲1497億 | ▲2485億 | 未定 |
当期純利益 | 4266億 | ▲6,709億 | 未定 |
24年度 営業利益 698億 前年と比べて
販売費用、価格改定 ▲3000億
インフレ影響 ▲1000億
その他 ▲1300億
固定費が現在の売上で賄えない水準になっている。
営業利益も前年度と比べて5000億程度落ちました。
経常利益 ▲4949億の特別損失を計上
老朽化した工場や資産の価値を下げてました。
24年度は前年と比べて営業利益、経常利益ともに損失が大きく前年度と比べて1兆程度のマイナスになりました。
25年度 予想 営業利益 0
為替 ▲1200億 前年より円高予想
販売パフォーマンス +600億
ものづくりコスト +1600億
インフレ影響 ▲1450億
業績の見通し立たず、営業利益、当期純利益など未定
26年度で自動車事業の営業利益とフリーキャッシュフローの黒字化を目標
コスト構造の改善
固定費の削減 27年度までに世界にある車両生産工場数を17から10へ
国内の工場も減らす可能性がある。
人員と経費の削減 グローバルに2万の人員削減
グループ全体で14万人
小売販売実績 (千台)
23年度 | 24年度 | 25年度(予想) | |
中国 | 794 | 697 | 570 |
日本 | 484 | 461 | 460 |
北米 | 1262 | 1303 | 1300 |
欧州 | 361 | 351 | 350 |
その他 | 541 | 535 | 570 |
合計 | 3442 | 3346 | 3250 |
24年度 通期販売台数 2.8%減少
中国ではBYDなどの自動車メーカーの台頭により、トヨタもホンダも中国での販売台数は減少しています。
北米では、ハイブリッドが売れているが、日産は投入できていない。
財務状況
23年度 | 24年度 | 25年度 | |
総資産 | 17兆5985億 | 19兆8551億 | 19兆240億 |
自己資本比率 | 29% | 30% | 26% |
剰余金 | 4兆478億 | 4兆2855億 | 3兆4154億 |
現金 | 2兆143億 | 2兆1262億 | 2兆1975億 |
減損損失などを出し、総資産、剰余金が減少。
保有する現金は横ばい傾向となっています。
現在2兆円程度の現金を保有。
この現金がなくなれば倒産するリスクが極めて高くなります。
配当情報
23年度 | 24年度 | 25年度(予想) | |
株価 | 552円 | 394円 | 359円 |
配当金 | 20円 | 0円 | 0円 |
利回り | 3.6% | 0% | 0% |
株価が2017年より右肩下がりを続けており。配当金も業績に連動し低水準が続いています。
以前は高配当株銘柄として、個人投資に人気がありました。
トヨタ自動車
時価総額 41兆8883億
PER 11.1倍
PBR 0.96倍
業績情報
23年度 | 24年度 | 25年度予想 | |
営業収益 | 450兆 | 480兆 | 485兆 |
営業利益 | 5.3兆 | 4.8兆 | 3.8兆 |
経常利益 | 6.9兆 | 6.4兆 | 4.4兆 |
当期純利益 | 4.9兆 | 4.7兆 | 3.1兆 |
24年度
価格改定やバリューチェーン収益の拡大により高水準の利益を確保
営業利益 4.8兆円 前年度比▲5000億のマイナス
人件費、販売諸経費などのコスト増加 ▲1.6兆円
為替差益 +5,350億
営業面の努力 +3,600億
価格改定、インセンティブの抑制、バリューチェーン収益の拡大のため
原価改善の努力 +1,500億
25年度 営業利益増減要因 ▲9,955億
為替差益 ▲7450億 円高予想
資材価格 ▲3500億 原材料費の高騰
関税影響 ▲1800億 トランプ関税のため 25%の関税をかける予定
人件費・成長投資 ▲4700億
改善努力 +3,495億
原価改善、バリューチェーン収益、台数増加を行い収益を増加させる。
販売台数 (単位:千台)
23年度 | 24年度 | 25年度(予想) | |
日本 | 1,993 | 1,991 | 2,070 |
北米 | 2,816 | 2,703 | 2,940 |
欧州 | 1,192 | 1,172 | 1,220 |
アジア | 1,804 | 1,838 | 1,900 |
その他 | 1,638 | 1,659 | 1,670 |
合計 | 9,443 | 9,362 | 9,800 |
財務状況
23年度 | 24年度 | 25年度 | |
総資産 | 74兆3031億 | 90兆1142億 | 93兆6013億 |
自己資本比率 | 38% | 38% | 38% |
剰余金 | 28兆3432億 | 32兆7953億 | 35兆8412億 |
現金 | 7兆5169億 | 9兆4120億 | 8兆9824億 |
利益剰余金も保有する現金も積みあがっており、財務面は問題ありません。
配当情報
23年度 | 24年度 | 25年度(予想) | |
株価 | 3,792円 | 2,616円 | 2,651円 |
配当金 | 75円 | 90円 | 95円 |
利回り | 1.9% | 3.4% | 3.5% |
年々配当金の増額を行っています。
株主還元
21年 | 22年 | 23年 | |
配当金 | 52円 | 60円 | 75円 |
自社株買い | 2499億 | 4356億 | 2999億 |
総還元 | 9,210億 | 1兆1538億 | 1兆1169億 |
24年 | 25年 | |
配当金 | 90円 | 95円 |
自社株買い | 1兆999億 | 1999億 |
総還元 | 2兆1117億 | 1兆3784億 |
年々自社株買いや増配を行っており、長期保有するならおすすめの銘柄です。
日産とトヨタ徹底比較
指標判断
日産 | トヨタ | |
PER | ―倍 | 11.1倍 |
PBR | 0.25倍 | 0.96倍 |
時価総額 | 1兆3352億 | 41兆8883億 |
日産は今期赤字のためPERは出ません。
PBRを比較すると日産が超割安水準と判断できます。
時価総額はトヨタとの開きが特に大きく、市場からの期待と評価に差があります。
決算情報
日産 | トヨタ | |
売上高 | 12兆6332億 | 480兆 |
営業利益 | 698億 | 4.8兆 |
経常利益 | 2102億 | 6.4兆 |
当期純利益 | ▲6709億 | 4.7兆 |
販売台数 | 334万6千台 | 936万2千台 |
売上高、利益水準ともにトヨタの足元にも及びません。
日産は今期、6000億の減損損失を出し、利益も膨大な赤字を出しました。
日産とトヨタも24年度比から見て営業利益は減少傾向となっています。
財務状況
日産 | トヨタ | |
総資産 | 19兆240億 | 93兆6013億 |
自己資本比率 | 26% | 38% |
剰余金 | 3兆4154億 | 35兆8412億 |
現金 | 2兆1975億 | 8兆9824億 |
自己資本比率が日産の方が低く、財務面でもトヨタの方が財務面の安定感があります。
配当情報
日産 | トヨタ | |
株価 | 359円 | 2,651円 |
配当金 | 0円 | 75円 |
利回り | 0% | 3.5% |
自社株買い | なし | 1999億 |
日産は業績が赤字のため配当金を出していません。
トヨタは毎年増配を行っており、長期保有におすすめです。
比べてみた結果
業績、財務状況、株主還元を比べてみましたが、トヨタに軍配が上がりました。
日産は、営業利益の減少、減損損失の発表により、利益も大幅な赤字となっています。
日産のV時回復に期待し、値上がり益狙いが目的なら投資対象となります。