2025年第二四半期の業績
三菱商事が11月4日に発表した2025年度第2四半期決算では、連結純利益が前年同期比42%減の3,558億円となりました。
前年にあった大口の資産売却益がなくなったことや、資源価格の下落が響いた形です。

■ 減益の背景
最大の要因は資源市況の悪化です。
豪州原料炭や鉄鉱石の価格下落により、資源分野の利益が大幅に減少しました。
また、前年にはローソンの持分法適用会社化や、KFC・PRINCES株式売却などの一時的利益がありましたが、今年はそれらの反動も重なり、全体として減益となりました。
■ 一方で、事業進捗はおおむね計画通り
営業収益キャッシュフローは4,463億円(進捗率50%)と順調で、
通期の業績見通し(純利益7,000億円)は据え置きとしています。
また、「経営戦略2027」では銅事業の拡大やLNG事業の生産強化など、
長期的な成長投資も進行中です。
特にチリや米国での銅鉱山案件は、脱炭素社会に向けた「金属資源の再評価」を見据えた動きと言えます。
■ 株主還元は引き続き積極的
株主還元策としては、今年4月に発表した自己株式取得(上限1兆円)が順調に進んでおり、9月末時点で約5,782億円を取得済み。
さらに、2025年度の年間配当は1株110円(前年100円から増配)とし、「累進配当+機動的な自社株買い」を継続する方針です。
総還元性向は中期経営計画「2024」で掲げた配当性向40%を上回る見通しで、株主への還元姿勢は引き続き強い印象です。
■ まとめ:一時的な減益でも長期の安定感は健在
資源価格の下落で減益となったものの、三菱商事の業績は依然として高水準で推移しています。
自己株買い・増配など株主還元は継続しており、長期投資家にとっては引き続き魅力的な高配当銘柄といえるでしょう。
📊決算ハイライト(2025年度第2四半期)
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営業収益キャッシュフロー:4,463億円(進捗率50%)
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連結純利益:3,558億円(進捗率51%)
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自己株式取得:上限1兆円 → 進捗58%
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1株当たり配当:110円(10円増配)
💬 筆者コメント
商社株は短期では資源価格に影響されますが、三菱商事は非資源事業の拡充が進めており、中長期的な視点では成長基盤に期待できます。
減益決算で一時的に株価の下落が予想されますが、むしろ「押し目」と捉える投資家も多いかもしれません。
